漏斗胸について

  漏斗胸の治療方法・症例 はじめに

治療方法・症例 もくじ

はじめに [漏斗胸の治療方法・症例]

私は胸部心臓血管外科医です。東京女子医科大学大学院在学中及び卒業後東京女子医科大学第一外科学教室に在籍中に心臓血管手術と併せて数多くの(1800例を超える)漏斗胸に対する外科治療を行ってきました。この内私自身が関与した症例は900例以上あります。松山に帰ってきてからは100例の胸骨飜転術、胸肋挙上術、胸郭再建術を行い、更に800例以上のナス法を施行してきました。
心臓血管外科手術が職業とすれば漏斗胸手術は特技とでも考えて下さい。胸郭変形疾患に対する情熱は世界中でも誰にも負けないと考えています。この特技を使って胸郭変形疾患の患者さまに貢献したいと思います。

胸郭変形疾患は胸部が衣服で覆われる事から患者はこの胸部の変形について触れたがらず隠し続け、発生頻度(後述)も先天性心疾患とほぼ同程度で一般の医家が遭遇する機会は比較的低い疾患と言えます。先天性心疾患については重篤な経過をたどるものが有る事の啓蒙が成されてきた為、先天性心疾患の診断を受けた症例及びこの疑診の有る症例は専門医のもとに委ねられる事がほとんどです。

一方、胸郭変形疾患のうち短期間に死に至る症例は稀であり、例え医師がそのような症例を経験したとしても直接の死因となった心臓および肺等にのみ目が行き、『胸郭変形疾患も伴っていた』程度にしか把えられていません。外科系の成書における胸郭変形疾患に関する記載も十分なものとは言えません。私は疾患に対する認識を新たなものとする為に述べていきたいと思います。

外科治療の適応を有する胸郭変形疾患には、脊椎、肋骨、肋軟骨、胸骨柄部、胸骨体部、剣状突起部の異常を認める漏斗胸、鳩胸および胸骨裂それに胸壁筋群の欠損を伴ったPoland症候群などがあります。
漏斗胸はこれらの中で最も頻度の高いものであり、前胸部の陥凹により胸郭内臓器の圧迫を受け心臓の左方移動および心臓の時計軸方向回転などを伴います。
鳩胸は漏斗胸とは逆に前胸部の突出をきたすものです。胸骨裂はまれな疾患であり、合併奇型のない単純な胸骨裂と心臓脱を伴うものやCantrell症候群に属するものがあります。
Poland症候群は一側性の大胸筋および小胸筋欠損に同側の合指症を伴うもので,肋骨の欠損、乳房欠損、肺ヘルニア等を合併することがあります。

大人の方の漏斗胸治療手術をたくさん行っています。痛みの少ない漏斗胸治療のために努力しています。